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津田沼/ 習志野のまさき歯科ブログ

IAO総会

aです。
先月の連休にIAO総会がありました。
IAOとはInternational Association For Orthodonticsの略で
特に子どもの顎の成長を考える予防矯正の学会です。
僕はトップバッターでプレゼンさせていただきました。
タイトルは「現代の日本人の顔を人類学から考える」
現代人は顎が華奢で細長く、頰の膨らみも弱く、歯ならびも
悪くなってきている傾向にあります。
頭は小さくならないのでコーンの上に乗った
特大のアイスクリーム顔になってきているのです。
そうなると、歯がならばないので乱ぐい歯になり、
ムシ歯や歯周病になりやすくなります。
顎は華奢で咬み合わせも悪く、顎が痛くなったり
口が開きづらくなる顎関節症(がくかんせつしょう)を
起こしやすくなったりします。
さらに、顎が前に成長しないためノドの奥にある
空気の通り道の「気道」が細くなり、睡眠時無呼吸症
引き起こしたりするのです。
縄文人と現代人の頭蓋骨を並べてみると
顎のゴツさは全然違います。
これは食事が大きく関係しているためです。
縄文人は咀嚼回数が一回の食事で約4000回、時間は50分程度。
現代人は咀嚼回数が一回の食事で約600回、時間は10分程度。
現代人は軟らかいものを食べるようになったために
噛む必要がないのです。
栄養はとれますが、顎の成長がおろそかになっています。
ただ、これは長い年月をかけて顎が退化して
華奢になっているわけではないのです。
例えば、殿様と言われた貴族たちは軟らかいものばかり
食べていたため、頭蓋骨を分析すると現代人に近く
平民や町民と比べ、華奢な顎で歯ならびは悪いです。
これはわずか数百年で起こっています。
また、「食生活と身体の退化」の著者のDr.Weston A.Priceによると
未開拓地に近代の食文化が入ってくると
きれいな歯ならびをしていた原住民が
わずか1世代で顎は華奢になり、歯ならびも
悪くなるという研究データも出ています。
顎があまり成長していない子どもたちは
機能矯正装置を装着することにより
口の周りや舌の筋肉を活性化させ、顎の骨の成長を
促す治療をしています。
こういった症例を交え、顎の発育について
お話させていただきました。
写真は縄文人と江戸時代町民の顎の骨の比較。
IAO日本支部長でありメキシコ州立大学客員教授の
岩附勝先生と。
機能矯正をヨーロッパ、アメリカと世界中で学び、
特にそうした治療が必要な日本に広げようと
尽力しているすばらしい先生です。
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